エーテリアル 

エーテリアル/エーテル的って、
世間では間違って使われてるよなぁ、などと思っていたが、
リーヴァフッド「境域に立つ」を読んで、考え込んでしまう。
もしも、世間でなにげなく使われている「エーテルっぽい」とか「エーテリアル」と呼ばれている質感を、
エーテル界に解消しないプラスチック状のエーテル体が作り出していて、
それがその人にとっては前世からの撹乱要素なのだとすると、
才能とか個性とか、もろもろの価値について考え直すときに、
頭の中が、なんか、ごちゃごちゃになる。

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タルコフスキーは少年と木で始まり、少年と木で終わる。
昔はそれを「エーテルっぽいよねー」などと評されると、
腹立たしく思ったりしていたのだが、
案外、的外れでもないのかもしれないのだ。

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エンデもどこかに書いていた気がするが、
うろ覚えなので自信がない。
シュタイナー芸術(の非常に多く)には、
見事なまでに、毒がない。
世間的な意味での「エーテル的」要素がない。
エーテル界を描いても、
実際エーテル感に満ちていてすら、
世間的な意味での「エーテリアル」な実感が、ない。

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子供のころ、家には「西洋の美術」という、何巻かに分かれた大きな書物があった。
市民の間で、百科事典などの大きな書物を本棚に飾るのが流行った時代だ。
その本のなかで、子供の私が、
「これだけがつまらない…なんでこれだけはこんなにつまらないんだ…
まったくこころに引っ掛からないじゃないか…」

と呆然と見つめていたのは、今思い出すと、
“建築編”に載っていた、第二ゲーテアヌムであった。

シュタイナー芸術や、
シュタイナーの黒板絵やメモなどが、
ほんとうにじわじわと生きたものとして自分に迫ってくるようになったのは、
実は、ごく最近のことである。
(皮肉なことなのか当然のことなのかわからないけれど、
“もの派”の物質自体の実感が切実に迫ってきたのも、最近である。)

その切実さは、夜の彼岸のジャケットに生かした。
「ああ、これでは商品の見た目としてとして引っ掛かりが弱い」とギリギリ悩みながら、
それでもあれを、描いた。
つまり、皮肉にも、
「非・エーテリアル」な質感を私に書かせたのは、
私の「エーテリアル」な部分である。
そしてさらに皮肉なことに、
私のエーテリアルな部分が非・エーテリアルに描いたのは、
おそらくは、エーテル的なものである。

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高橋巌「生命の教育」とも併せて読むと、
概ね、私には、以下のように読めてしまう。

―普通、人は概ね千年に1回生まれ変わってくるが、
ここ数百年、例外的に、やたらサイクルが早い。
―ここ数百年、唯物文化によって、人間のエーテル体に、いわばプラスチックのように、
エーテル界に解消されない部分ができやすくなっている。
それは、数百年も残る場合がある。
―人間が全く別人種・別文化・別民族に生まれ変わってきても、
そこに前世のエーテル死体の残存物が残ってる場合があり、
それが人間の意識や行動を撹乱する。
―それは神経症、拒食症など、現代に広く現象しているが、芸術の才能となるケースもある。
―それらは、いわば「新しいデュオニュソス」であるが、
古いデュオニュソスとは違って、新しいデュオニュソスには、
きちんと包括的に論じた文献が、まだ、存在しない。

こんな感じだ。
無論、離肉~受肉までの複雑なプロセスあってのことだけれど、
そのプロセスに影を落としているのは、
つまるところこの新型のデュオニュソスであるように思えてならない。
そしてこれは、シュタイナー本人は、
「非常に微妙な事柄」とか言って、
あまり言いたがらなかったことだと思う。

シュタイナーは、何を、言いたがらなかったのだろうか。
そして、なぜ、それを言いたがらなかったのだろうか。

トバル・カインのことが頭をよぎるが、
それは古いデュオニュソスの系譜となるはずだ。

私(達)、とりわけ技術/芸術をする人間は、
“それ”を、放棄できない。
むしろ、人生でもっともかけがえの無いものだと思っている。
それがもしも、人類にとって克服されるべきもので、
自分達が人類にとって克服されるべき種を撒いているのだとしたら。
芸術を享受する際にも、同じことがいえる。

そうやって考えていくと、
シュタイナーが言いづらそうにしていたことが、
おぼろげに判ってくる(気がする)。

しかし、私がこうして思い巡らすよりも、
事態は、ずっと複雑なのだろう。
リーヴァフッド「境域に立つ」にしても、
一体私に、書かれていることのどれほどが分かっているというのか。

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