「元型ドローンVol.17」文章の下書きを公開 

先日の電子持続音ライブ「元型ドローンVol.17」で、
ご来場の皆様にお配りした紙の、
下書きをここに公開します。

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曖昧な薄明が続く。
そして時折、突発的な寸断が顕れる。

それがあまりにも巨大なせいで、私たちはそれを見渡すことができない。
私たちはその飛沫を、
人生における突発的な寸断のように体験する。
その突発的な寸断は、私たちすべてに、個別に顕れる。

それでいて、曖昧な薄明は続く。

人間らしさは、寸断されない側にある、ように見える。

そこに「ない」ように見えるものについて。

寸断によって目覚める。死の門が見える。
存在しない側に還る。この衰退を進む。
丁寧に降りる。或いは後ろ向きに登る。
毎瞬間、毎瞬間、
わずかばかりの永遠を噛み締めながら。
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毎回、どのようなことをするか感じ、思い、考え、
ライブを聴くに当たっての「手すりのような文章」として、
どのような文章を書くのか、
ライブチラシのデザインをお願いする3か月前ぐらいから
もやもやとイメージしはじめ、
数日前までまとめるのに煩悶しております。

先に、いわゆる「コンセプト」として印刷してしまっても、
本番が近づけば近づくほど、
自分が何をするのか明確になっていくものですので、
先に印刷してしまった「コンセプト」に従って、
当日生気のない音を出しても仕方ありませんから、
本番ギリギリまで文章をまとめ上げずにいるのが通例です。
が、年を取って記憶力が落ちてきているので、
脳内に「生まれる前の言葉を置きっぱなしにして発酵させる」
という手法も難しくなってきてしまったものですから、
ある程度の言葉は忘れずにメモしておくのです。
上記の文章は、その書き付けのようなものです。

少しずつ、スマホにメモを取って行きましたので、
段落によって一週間程度のタイムラグがあったり、
その都度書き換えたり、
削除してしまった言葉もあったかもしれません。

ライブにお越しくださった方には、
少々意外な言葉も混じっているかもしれません。
「死の門が見える」というのは、
自宅でリハを重ねている最中、
まごうことなく、
「死の門が見える」としか言いようのない体験をし、
自分でも驚きつつ書きつけたものです。

アナログ回路を使って音を出していますので、
「死の門が見えた時の音」は、その後リハを重ねても、
結局二度と出ることはありませんでしたが、
それでもこの「死の門」を当日の文章に入れるべきだろう、
と考えていたのが確か本番3日前、
翌朝「いやちがうだろ」という思いで目が覚め
(私は熟睡中に思考をまとめる習慣があるのです)、
最終的に、当日の簡潔な文章にまとまった次第です。

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完成した文章に後悔はありませんが、
当日の皆様の親密な気配のおかげもあって、
「手すり文章」とは少しずれのある、
穏やかな音がでましたね。

私事にて恐縮ですが、今回は、
録音物やライブで人に自分の音を聞かせ始める以前の音、
ああ、私はそもそも、このような音が出したかったのだ、
とでもいうような音を出すことができました。
そのような音を、人前で出すことができるとは、
思っていませんでした。

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こういう文章は、お聴きになる皆さんの、
自由な解釈を阻害する副作用があることは、
ある程度自覚しているのですが、
そもそも電子持続音だけでは解釈ができないので、
「手すりのような文章が欲しい」、というご要望から
書き始めた文章でもありますので、
「思考プロセス・メモ」として、
ここに公開しておきます。

もちろん、「自分には全く違うものに聴こえた」、でも結構です。
ご自分が聴こえた音が、おそらくは、あなたにとって、
最も正しい音なのですから。

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