ドローンと信頼 

まず初めに検索でこのページに来られた方のために申し上げておきますと、
以下に書かれている「ドローン」というのは、「持続音」「通奏低音」といった、
音楽的な意味合いです。空を飛ぶドローンのことではありません。

また以下は、特定の楽曲や特定の音楽家を批判するものではありません。

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まず、何らかのサウンドソフトをインストールします。
「生成」とか「シンセサイズ」といった項目をメニューから選びます。
そうすると、「波形」の選択がだいたいプルダウンメニューから出てきます。
で、そこから波形を選び、周波数を入力し、生成時間を入力します。
ここで仮に、「100Hzの正弦波を10分生成する」、と入力します。
これだけで「100Hzの正弦波が10分鳴り続けているドローン」ができます。
これができ上がるのに、正味、数秒しかかかりません。
10分間のドローンを作るのも、1000分間のドローンを作るのも、
このやり方だと、殆ど時間の違いはありません。
(生成時間に上限を設けているソフトもありますが、
ファイル末尾に同じ工程で挿入していけば、いくらでも時間は伸ばせます。)

私は上記のような「作品」を作ったことがありませんし、
こういう事をやった人がいるかどうかも知りませんが、
要するに、
「ドローンはいくらでも手を抜ける」
という事実があります。
これは別にドローンでなくても、
ノイズでもテクノでも、ある種の美術であっても、
事情は同じと言えば同じです。
受け手の目や耳にゆだねられる。

ですが、ちょっとドローンだけ事情が違うことがあって、
それは、デジタル技術を使えばどんな時間でも作り出せるということです。
1秒なのか、20時間なのかは、数値入力だけで決めることができる。

ドローンの場合、
「これはちゃんとしたものだ」とか、「これは駄目なんじゃないか」とか、
判断するのに、かなりの時間がかかります。
誠実に判断するのなら、(あたりまえですが)全時間通して聴き切らないと、
そもそも1回聴いたことにすらならない。

1回通して聴いてみて、じつは適当に数値入力してそれっぽくしてるだけでした、
なんてことは、4分間のポップスよりも、ずっと“あってはならないこと”だと思うのです。

言葉で飾っておくことだってできます。
「100Hzの正弦波が100分続く」のでしたら、

正弦波-サイン・ウェイブ。それは”純音”とも呼ばれ、
あらゆる音の基本。これ以上分割することのできない、純粋な音。
その振動が1秒に100回繰り返されることによって、音として響き渡り、
それが100分間続きます。
つまり、あなたは、純粋な振動を、60万回体験することになるのです。


私は宣伝文句がへたなのでうまい文章ではありませんが、このような、
「嘘ではないけど全然たいしたことはない、
でも専門外の人が読んだらなんだかすごそうな気がしてくる文章」
を添えとけば、なんとなく格好はつきます。

何でも最終的に受け手にゆだねられるのは同じなんですが、
ドローンは他の音楽より聴くのに時間がかかり、
他の音楽より思考で捉えられる要素が少ないので、
信頼って大事だな、と思うのであります。

つまらない話で失礼しました。
3/19(日)のライブ、「元型ドローンVol.13」の準備を進めます。

謹賀新年2017 

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。


今年も、大晦日深夜~元旦12時をまたいで、
年越し坐禅をさせていただきました。
終了の鐘が鳴り、禅堂の天井を見上げたとき、ふと、
これこそ「盲亀浮木」というものか、
禅堂でこうして坐禅をしている自分はどれほど幸運なことか、
禅師も、特にお金になりもしないのに、よくぞこんな舟沢を導いて下さるものだ、
と恐縮してしまいました。



数年前、恐山で購入した飾りろうそくも、
これが最後の一本だったようです。
皆様にとっても、よき一年でありますように。

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最後に、ちょっと早いですが告知させていただきます。
次回ライブは、3/19となります。
詳細は後日。
よろしくお願いいたします。

メンタル道祖神 

dousojin2016_1.jpg

残されている芸術というのは、
おしなべて、メンタル道祖神とでもいうべき性質を持つ。
見知らぬ土地で道祖神に会う。
それは人が通った証しであり、
そこを通る人を見守る意思の現れであり、
そこが何らかの意味のある地点であることを示している。
それを伝えるために誰かがそれを作り、その場所に配置した。

魂の深奥に於いても、そういうことは可能である。
かつて、自分以外にも、そのような状態を経験した人間が、いる。
それはこのような場所であり、この先にはああいうものがあり、
この横にはこういうものがある。
そう、見る者、聴く者に伝えるもの。

ある種の芸術は、このために存在している。

ところが、人間(達)の内面は、まるで地図のように、
作った本人が考えるよりも、
かなり速く、かなり大きく、変化する。
ほんの数十年で、ある道はなくなり、別の道ができ、
ある場所はそれほど危険ではなくなり、
孤独な道は人で賑わいはじめる。

道祖神の意味は、一旦失われる。

そうなると道祖神は、存在をやめることもできず、
どこかにまとめられることになる。
もはや道に迷った人に道を示す役割は終わった。
あとは数百年、数千年の年月をかけ、
ただ朽ちていくのを待つのみ、だろうか。

道にまとめられた、
役割を終えた道祖神を見ていて、
これには何か、別の意味があるのではないか、
あるいは、別の意味を与えなければならないのではないか
という思いがよぎる。

それは、おそらく、
人間の完成と深い関わりを持つ。

feedlyにしました 

MyYahoo!が終わります。

さて困りました。
RSSフィードは、色々と問題はあるものの、
ブックマークを巡回するよりも、
圧倒的に便利であることには変わりありません。

好きな芸術家の動向を知りたいと思う。
でも、SNSでフォローしてしまうと、
こちらが見ていることも相手に解ってしまうし、
「おなかすいた」とか、明らかに不要な内容も
大量に流れてきてしまう。
「いらないや」とフォローを外しても、
今度は外したことが相手に解ってしまって、
なんとなく気まずい。
重要な告知だけを受け取りたい。

というわけで、結局RSSリーダーを使うのが、
今でも最適と感じています。

おそらくRSSの置き場所(xmlのURL)が
バラバラだったりとか、ルールが厳密じゃなかった辺りが、
RSSリーダーがいまいち興隆しない原因だと思うのですが、
xmlがどこに置いてあるかの“”も働くようになりましたので、
舟沢、feedlyに移行しました。
これならPCでもスマホでも、
もろもろ受け取ることができます。
最大の欠点は英語だというところですが、
MyYahoo!よりも表示が速いです。

色々試して比べたわけではないので、
レビューという訳でもありませんが、
feedlyでRSSを受け取るのは便利です、
という話でした。

子音とスピード 

実家に赴くと、ピーピーとアラート音が鳴っている。
見ると、冷蔵庫が開けっ放しになっており、
あれほど電気代、水道代にうるさかった母が、
冷蔵庫を開けっ放しにしてなにやら料理らしきことをしている。
冷蔵庫が“開けっ放しの警告”として、アラームを発しているのだ。

それなりの緊張をもって話しかけてみる。
なぜ冷蔵庫を開けたまま放置しているのか。
元々電気代や水道代にそんなに厳しい人間ではないのだ、
という母の主張はさておき、
冷蔵庫がアラート音を発しているのに、
かまわず冷蔵庫を開けっ放しにしていることについては、
よくそんなの聞こえるな、そんな音が鳴っていたのか、
という。(よかった。認知症ではないようだ)
さらに聞けば、体温計のアラームも聞こえた事がなく、
デイザービスなどでも「あ、聞こえた」と若い職員がてきぱき体温計を取っていく。
若い人にしか聞こえない音ってあるんだねえ、
などと言っている。

その冷蔵庫のアラート音というのは、
4KHzぐらい(ピアノの一番右の「シ」ぐらい)である。

人間が加齢と共に高域から聞こえなくなっていくのはよく知られているし、
言葉の認識に必要な音は6KHzぐらいまでという基準も耳にする。
上限6KHzといえば電話ぐらいだな、
歳を取るって大変だなと、半ば他人事のように知識を吸収していた。
が、今や母は、4KHz、つまり鍵盤の音程で言える帯域まで、
音が聞こえなくなってきているということになる。

高周波の子音ではなく、鍵盤の音域まで難聴が及んでいることに驚き、
手持ちのスマホでピアノアプリを出し、
この音は聞こえるかい、と音域を探っていく。
そもそも「聞こえる」「聞こえない」の返答が曖昧で、
コミュニケーションに難航するが、
結局、ピアノで一番高いソ(ミドルCをC3とした時のG6)、
つまり大まかに言って3KHz辺りまでピアノは「ぴーん」
という音に聞こえていて、その上は「こつ、こつ」と聞こえているという。
つまり、母は音程としては3KHzぐらいまでしか聞こえず
あとは“打鍵音”などの非・音程成分に含まれる中低域で、
辛うじて音が鳴っていることが認識できているらしい。

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ほうぼうに書いているが、音は「鳴り始める最初の特徴」と
「音程として感じる平坦な部分」でできていることが多い。
トランペットが「ぱー(PAAAAA)」と鳴っていれば、
その音は鳴り始めに「P」が鳴っていて、「AAA」と
音程が続いているような感じ。

人間の言葉も、「子音」と「母音」でできており、
子音の成分の大半は、高周波である。
(古い音響技師なら「サ行は8KHz」と教わった方も多いだろう)

というわけで、3K以上が聞こえないとなると、
子音がほとんど聞こえないことになり、
そもそも会話が成立していること自体が不思議なぐらいである。

なにが起きているのか、と思ったが、
そこは高齢化社会、ちょっと調べたらサンプルが出てきた。↓

MY介護 高齢者の聞こえ方

↑このページではたと膝を打ったのだが、
高齢者にゆっくりしゃべらなければならないのは、
相手の脳のスピードというより、
“子音を長く聞かせる”という意味合いが大きいのだろう。
S、Hなど、音響の世界では「高周波がないと存在しないに等しい」子音であっても、
僅かに含まれる低域を念入りに聞かせれば、
これは「ア」か、冒頭に子音Sがある「サ」かを、
聞き取ったり、類推したりできるだろう。

高齢者にはゆっくりしゃべって、
聞こえない子音を聞き取りつつ、子音を類推してもらう。
なるほど。そういうことなのか。

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しかし問題は残る。

アラーム音をどうしたらいいか。

冷蔵庫も体温計も、大抵の家電のアラーム音が、
高齢者には、聞こえない。(3KHzですからね。びっくりです)
今ですらアラーム、ビープ音は聞きたくない人にはうるさすぎ、
電車の中でトラブルになるなど深刻な社会問題なので、
いたずらに音量を上げていいわけがない。
そして体温計の大きさを考えれば解ることだが、
音程を下げればいいわけでもない。
(そんな小さなスピーカーで中低音が豊かに出たら、特許が取れるだろう)

アラームを出すものの種類にもよるが、
冷蔵庫であればアラームをやめてLEDを点滅させるあたりが
現実的かな、とも思うが、もっといいやり方があるかもしれない。
(ちなみに、一定時間を過ぎたら自動で閉まるのはナシです。
開けっ放しにするような高齢者はドアにペットボトルが挟まってても気付きません。)

あとは何が鳴って、何が光って、何が自動停止するのか、
コンフィグできればいいだろう。
設定は身の回りの若い者がやる。

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余計な音を出さず、必要な音を届ける難しさ。